英会話教室に頼らず自分たちで子どもに英語を教えてみよう、そう思い立つと、この世は幼児向け英語教材が無数にあることがわかります。どれが良いのか迷うけれど、娘の顔を思い浮かべて「この子が楽しく取り組めそうなものは何かな?」と素直にイメージすると、ピンとくる教材とわりと出会えるような気がします。
うちの場合はディズニーであり、ソフィアでした。
『ちいさなプリンセス ソフィア』は日曜の朝7:30からテレビ東京で放送されているディズニーアニメです。アメリカで数年前に放送されたものが輸入されて日本語で吹き替えられています。
この物語の設定はなかなかユニークです。ちょっと紹介すると、小さな村で靴屋をやっていた未亡人の女性が、妻に先立たれている子持ちの国王と再婚し、その娘である主人公ソフィアは村の普通の女の子から一気にプリンセスになってしまう、というもの。彼女は王族としての慣れない生活のなかで頻繁に戸惑います。
しかし本当にピンチのときは国王から譲り受けたペンダントがピカーと光り、その不思議な力によってディズニー映画でお馴染のプリンセス(シンデレラやベルやラプンツェル)が現れて、ソフィアに困った事態を切り開くための助言をしてくれます。それをヒントに、彼女は優しさと賢さと勇気を十分に発揮して目の前の困難を乗り越えていく。次第に国王側の連れ子である兄姉との関係も、また王立学校の友人達との関係もよくなってゆき、魅力的なプリンセスへと成長していく、というストーリーです。
"A friend is someone who will play with you."
といったように、幼児向けですが、日本の義務教育課程であれば中学三年生でならう関係代名詞の用法も自然体で使われています。こうゆうところがユーザーとして気に入っています。褒めたいところはたくさんありますが、僕の意見なんかよりも紹介したいのは、絵本BOXに同封されている製作チームから親たちへのこの手紙(アドバイス)です。
妻に翻訳してもらいました。
いかがですか?自分はこれを読んでちょっと感動した。つくり手たちの願いと知恵がぎゅっと詰まった教材だなと感じました。【日本語訳】保護者の方へ読む力はお子さんが学校やその後の進路でうまくいくかどうかを示す最も大事な要素となります。多くの場合、読書を好む心の育成が始まるのは教室の中ではありません。家庭で始まるのです。この10冊の本のセットは読書を始めたばかりのお子さんが将来も読書家になるように作られたお話を取り扱っています。美しいイラストとわかりやすい本文でできているお話で構成されたセットです。保護者の方とお子さんがこのセットを最大限に活用するためのヒントをお伝えします。●絵について話してみましょう。お子さんが何についてのお話なのかを考え、それが正しいかどうかわかる手助けとなるでしょう。●本文の下を指でなぞりながら、まずお子さんにお話を読んであげましょう。お子さんが話し言葉と書き言葉のつながり、英語は左から右へ読む決まりなのを理解するのに効果的です。●保護者の方がお話を読んだ後、内容についてお子さんと話してみましょう。登場人物になりきって読めることは、お子さんがお話を十分に理解し、入り込むことができるようにするための大切な方法となります。●お子さんが自分でお話を読めるように励ましてあげましょう。子どもはひとりひとり異なる方法、速さで学びます。心に留めておいていただきたいことは、良い読み手にはある共通点があるということです。読書と学ぶことへの一生を通じた愛を育んでくれるのは、本をよく子どもとシェアする協力的で愛情溢れる大人なのです。お子さんと一緒に読書を楽しみましょう!
最後に、妻が敬愛する作家・村上春樹さんの考えについて触れておきます。
子供の頃の語学学習が一番必要なんだと言われればそれまでだけれど、普通の6歳の子供がどうしてバイリンガルにならなくちゃいけないのか僕には全然理解できない。日本語もちゃんとできない子供が表層的にちょこっとバイリンガルができてそこに一体何の意味があるのだろう?
何度も言うようだけれど、才能とあるいは必要があれば、子供英会話教室に通わなくたって英会話は人生のどこかの段階でちゃんとできるようになる。大事なことはまず自分という人間がどういうものに興味があるのかを見定めることだろう。日本語の真の会話がそこから始まるのと同じように、英語の会話だってそこから始まる。
これは著書『村上朝日堂はいほー!』の一節です。アメリカ文学の翻訳家でもある村上春樹さんが日本の英会話習得ブームに対する違和感を率直に語ってみた、という世間への鋭い問いを含んだ内容です。僕ら夫婦は、このエッセイに何度頷いたことか!っていうくらい彼の考えに強く共感しています。
こういう外国語習得にかかる厳しい指摘を肝に銘じながら、それでもなお「夫婦で5歳の娘に英語を教える」という選択をしている。
もちろん娘のためなんだけど、実は自分たちのためでもある。夫婦で協力しながら子どもに社会的価値のある何かを教える、あるいは身につけさせるって、思いのほか楽しいんですよね。充実した会話ができるから夫婦の時間が面白くなるし、パートナーシップも成長するので家族関係は健やかになるし、子どもの自立心を刺激して養えるし。一口には語れない大きなメリットがいくつもあります。
以上が、娘のイングリッシュ・ラーニングの現状になります。
家庭教師や塾講師をやっている僕は、当たり前だけどよく「先生」と呼ばれます。自分を信頼してくれる若者たちを上手く指導できる良い先生になりたいとつねづね思っているのだけど、何よりもまず、愛する我が子に一流の教育を自前で実践できている父親でありたい。でないと「先生」として全く説得力ないよなーっと思うから。
というわけで、今後も折に触れて自分の子育てをブログで語っていくのでよろしくです。
ではでは。